
田上洋子 著
定価 2000円+税
判型 B5判 変型
頁数 136ページ
装幀 奧冨佳津枝
発売 2020年7月9日
ISBN 978-4-7684-5882-2
【内容】
眼球を動かすことで脳の神経細胞を刺激し、心の混乱を解きほぐす「眼球運動」と、シュタイナー教育で用いられる「フォルメン線描」、そして気持ちを安定させる「イメージ呼吸」を合わせた「エムレム」療法のご紹介です。
これは精神科医の田上洋子氏がトラウマを抱えた子どもたちを診ていくなかで発案した、トラウマからの脱却療法で、本書では療法のやり方から実例、専門的な用語まで、丁寧に紹介・解説します。
本書の構成は以下の通り。
第1部、第2部では、フォルメン線描の描き方とイメージ呼吸のやり方をレクチャーする。
第3部、第4部では、児童虐待や自然災害によるトラウマに苛まされている子どもたちが回復するまでの実際のケースを、彼ら彼女らが描いたフォルメン線描とともに追う。
第5部では、「エムレム」誕生までの精神医療の背景やシュタイナーの考え方など、専門的な用語の解説をおこなう。
本書で扱われている「エムレム療法」に使うものはクーピーと白い紙だけ。
やり方も簡単。「イメージ呼吸」で呼吸を整え、波を描いたり、好きな色で好きなだけ、8の字を重ねたり。
ぜひ多くの方にお試しいただきたいです。
2022年9月に重版ができました。
『トラウマからの解放』のエッセンスをより広く伝えたいという著者の思いから、奥付に付録をダウンロードいただけるQRコードをつけています。
【著者紹介・担当編集者より】
1938年生まれ。1966年東京医科歯科大学卒 精神神経科。1973年米国ロードアイランド州ブラッドレイ病院にて、行動療法の研修を積む。茨城県湯原病院勤務を経て1990年に「神経科クリニック こどもの園」を開院、現在に至る。
著書:『自閉症スペクトラム - 臨床家のためのガイドライン』(共著)、『親と子が語り継ぐ満州の8月15日』(編集)、「EMDRの変法としてのイメージ呼吸を組み合わせた簡易精神療法について」『外来精神科診療シリーズ』(共著)、『フォルメン線描―子供に対してEMDR施行時眼球運動の効果を上げる手法』(共著)
新型コロナの影響で自宅にこもりがちな高齢者や、子育て中の親世代にこそ読んで欲しい。
東日大震災やゲリラ豪雨による水害などの自然災害や虐待、DVなどトラウマとなりうる出来事が降りかかってきた際の心の備えとして、フォルメン線描の描き方と呼吸の整え方を身につけておくことは非常に有益なことではないかと思われる。
フォルメン描画をメインに据えた本は、ここ20年ほど田上氏の著作以外はほとんど出版されていない。
本書は絵本としてのデザイン性とフォルメンの描き方紹介としての実用性を備えた好著となる予定である。
【目次】
はじめに
第1部 描いてみよう
フォルメン線描……線を描いて遊ぶ
体験した人たちの線描画
第2部 やってみよう
イメージ呼吸……深い呼吸へ
第3部 トラウマ(PTSD)から解放されたこどもたち
家庭内の暴力がトラウマになったケース
自然災害がトラウマになったケース
第4部 その他の症例
強迫神経症
吃音
第5部 ことばの解説 「エムレム」の成り立ち
PTSD(心的外傷後ストレス障害)
近代に工夫された心理療法
EMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing 眼球運動による脱感作と再処理法)
「EMDR」から「エムレム」へ
シュタイナー教育とフォルメン線描
あとがき