
福祉労働編集委員会 編
定価 1200円+税
判型 A5判 並製
頁数 180ページ
装幀 杉本 和秀
発売 2015年9月25日
ISBN 978-4-7684-2348-6
【内容】
安倍政権の「戦争できる普通の国づくり」を下支えする社会意識の醸成を、意識規定にもっとも重要な教育、優生思想と自己責任を強化する医療・福祉、管理と社会防衛意識強化の司法・マイナンバー制度等から読み解く。
第1次安倍政権による教育基本法改悪から改訂学習指導要領の全面実施をへて、2018年度の道徳の教科化で、学校教育による子どもの心の支配は完成する。医療・保健においては、尊厳死法案、出生前診断などいのちの選別が進み、健康増進法で健康は「権利から義務」に変わり、医療コストの喧伝による「社会のお荷物意識」が広がり、優生思想の国民意識への内面化が進んでいる。財政再建の旗印の下、社会保障費の伸びの圧縮により、福祉に頼れない「経済的弱者」を大量に生み出しているにもかかわらず、個別の「自立支援」が強化され、貧困、社会矛盾に対するソーシャルアクションが沈滞していく。
生命・生活領域への介入・管理が浸透する一方で、「世界一安全な国・日本」創出戦略を閣議決定した安倍首相の下、不可能な再犯予測の下での刑期なき収容体制をもたらした医療観察法、少年法の厳罰化、特定秘密保護法、マイナンバー制導入などにより、情報が公権力に集約・管理され、相互監視体制がさらに強められる。戦前の治安維持法体制はもう目前にきている。
【目次】
インタビュー ハビブ・ウル・ラハマン
車いす製作がもたらすソーシャルイノベーション
聞き手―――編集部
特集 「戦争できる国づくり」への国民再統合――教育・医療・福祉・司法に見る
「戦後レジームからの脱却」と「戦争できる国づくり」をどう見るか
前田康博
戦前回帰の教育現場――戦後教育の根幹を覆す「国家教育権の復活」に教育現場は見合う抵抗をしているか
北村小夜
道徳の教科化がもたらすもの――内心の公的問題化と行動統制について
池田賢市
教室から見る「特別の教科 道徳」
宮澤弘道
文化的な生活をめぐって──日本国憲法第二十五条再考
市野川容孝
司法・刑事法制から見た治安強化・国民再統合の動き
内田博文
福祉・保健分野で進行する「国民監視と再統合」
関口明彦
「自助努力」「自立支援」流行りの福祉施策のなかで――シングルマザー当事者団体の活動から見える「自立」とは
赤石千衣子
すべての個人情報を一元管理するマイナンバー制度――国家が住民を支配する監視社会へ~IT犯罪者に個人情報を提供するマイナンバー制度
関口 博
インターチェンジ 交差点
施設から グループホームという仕事 藤平祐希
保育所の庭 保育実践は面白い(3)――かかわりの深まり、そして広がり よなっしー
行政の窓口 時代にあった公の役割(2) 田村敦司
街にいきて キーサン患者会 街の中で居直り 街の中に居座る(転換之章) 江端一起
障害学の世界から 第七十一回 長瀬 修
合理的配慮、公民権運動、アフリカ諸国の独立――キング、ムボヤ、ケネディ、オバマ
障害者の権利条約とアジアの障害者第十九回 中西由起子
国連専門機関の働き2 UNHCR
季節風
女性差別撤廃条約へのNGOブリーフィング報告
藤原久美子
障害者の政治参加をすすめる好機が訪れた――先の統一地方選挙を受けて
斎藤まこと
これはインクルージョンと相いれない――「多様な教育機会確保法(仮称)案」の問題点
嶺井正也
「青山正さんを迎えて 冤罪・野田事件の再審・無罪をめざす集い」にご参加ください
青山さんの再審無罪をめざす大田の会
政府の社会保障解体政策と闘って、「骨格提言」の実現を
古賀典夫
案内板
書評 『ダウン症の歴史』 松永正訓
現場からのレポート
鬼塚朗さんの介護保障裁判、札幌高裁判決報告――障害者総合支援法の限界と地域生活保障に向けての課題
長岡健太郎
福島県郡山市で第三十一回DPI日本会議・全国集会が開催される――原発事故で苦悩する福島の状況を集会参加者に伝えることを目的に
白石清春
「精神障害にかかわる法制度の望む在り方を問う――精神保健福祉法、病棟転換型居住系施設、障害者虐待防止法」院内集会を開催して
加藤真規子
連載 「当たり前」をひっくり返す――フレイレ、ニィリエ、バザーリア 竹端 寛
第一回 アッセンブレアと対話
読者の広場