
福祉労働編集委員会 編
定価 1200円+税
判型 A5判 並製
頁数 164ページ
装幀 杉本 和秀
発売 2018年9月25日
ISBN 978-4-7684-2360-8
【内容】
住まいの確保は個人責任とされてきた日本では、住宅確保が難しい層が固定化され、「ネットカフェ難民」といわれる「見えないホームレス」も拡大している。当事者や支援者、行政が「住まいの貧困」の現状を整理し、社会政策として解決策を提起。
日本賃貸住宅管理協会の調査によれば、特定の人を敬遠する大家の割合は、障害者が68%、外国人61%、高齢者60%、生活保護受給者60%となっており、家賃滞納や「孤独死」の懸念、あるいは偏見・差別が理由として考えられます。こうした住まいの確保に困難を伴う従来の層に加え、若年世代にも住まいの貧困は広がっています。本特集では、安定した住まいの確保に困難を抱えさせられる現状を当事者及び支援者から提起していただき、その解決に向けてどのような社会政策が必要なのか考えます。また、空き家・空き室が増えても、借りられない人がいるミス・マッチングを解消するために、高齢化・孤独化する地域の再生として広がっている異世代・異文化によるシェアハウスなどの取組みにも注目します。
【目次】
特集:地域で暮らす足場としての住まいの問題
日本の「住まいの貧困」問題 稲葉 剛
新たな住宅セーフティネット制度について 東條 旭
住まうことの手前にあるもの――重度身体障害者と住まいの問題 岡山祐美・高橋慎一・土田五郎
知的障害者を巡る住まいの問題 末永 弘
私たちはひとり暮らしを始めた――精神障がいのある人の住まい選びと引越し 日塔龍也
高齢者を巡る住まいの現状と法的課題 矢田尚子
帰るべき場所を失ったホームレスの人たちの居住支援の現場から 副田一朗
NPO+住民協働の包括的取組みによる居住地の再生 鈴木雅之
視覚障害者のお部屋探しについてあれこれ 伊藤丈人
刑余者の住居確保は更生の一環 嘉戸 篤
住まい方が変わる!?――広がるシェアハウスの取り組み 株式会社シェア・デザイン
「住まい結び」という挑戦 大西 連
季節風
就労継続支援A型事業所「しあわせの庭」大量解雇事件から考える 武藤 貢
ソーネおおぞね――新たな共生社会に向けた拠点 斎藤縣三
身体障害者入所施設に東西の動き
――増え続ける施設への検証と入所者・障害当事者のネットワークを 松浦武夫
一五年ぶりの「就学時の健康診断マニュアル」改訂は何のためか 名谷和子
『そよ風』から『季刊しずく』へ めぐみ編◎『障害のある先生たち――「障害」と「教育」が交錯する場所で』 名谷和子
インターチェンジ 交差点
施設から 美深のぞみ学園施設解体の軌跡④──白鳥蘆花に入る 石田 力
教室の窓 本当の意味での合理的配慮とは――医療的ケアのスタートから見えてきたもの 押部香織
街に生きて 自分の身体と優生思想 実方裕二
行政の窓口 “総合相談”から見える女性たちの姿 新堀由美子
障害者の権利条約とアジアの障害者 第三十一回
権利条約の政府報告⑥ 第7条 障害のある児童 中西由起子
社会を変える対話──優生思想を遊歩する 第九回
優生主義と闘うには、みんながSOSを出し合えることが大事 高浜敏之×安積遊歩
現場からのレポート
なんやねん!! この親による監禁は?!――兵庫県三田市、三十年間の障害者監禁事件 浜根一雄
「精神科医にも拳銃を持たせてくれ」巻頭言の波紋と問題点 長谷川利夫
「第三十四回DPI全国集会in神奈川」報告 鷺原由佳
論文
生活保護制度とその運用の在り方に対する問題提起
――ニュージーランドの社会保障制度との比較から(上) 木本 明
資料
障害者権利条約中華民国(台湾)初回報告総括所見(下) 長瀬 修
投稿
「当事者スタッフ」とはナンなのダ、いったいナニ者なのダ 江端一起