大木茂 著
定価 3600円+税
判型 A5判 並製 フルカラー
頁数 528ページ
造本 鈴木一誌+吉見友希+矢島風語
発売 2021年7月27日
ISBN 978-4-7684-5902-7
吉永小百合さん推薦!
「こちらまで旅をしている様に、胸が躍りました。」
一帯一路ってこういうことか!
コロナ禍直前、連続77泊の日付と地名のある旅日誌。ユーラシア大陸最東端から最西端までひたすら鉄路で地球を半周。ユーラシアの人と暮らしと文明を写した1000枚の写真による壮大な記録。
16か国(ロシア―中国―カザフスタン―ウズベキスタン―タジキスタン―トルクメニスタン―イラン―トルコ―ブルガリア―セルビア―クロアチア―スロベニア―オーストリア―イタリア―フランス―スペイン―ポルトガル)の国境を越える旅。民族とは何か、国境とは何か、人の暮らしとは何か、いま一度、じっくり考えてみたくなります。
【内容】
本書に収められた写真と文章から溢れ出るのは、著者の鉄道への愛とその土地で暮らす人びとのマスクをしていない笑顔です。何十年も使われている車両との再会からは著者の純粋な鉄道愛を感じることができ、それぞれの国の独自の技術と工夫によって造られた車両の歴史を饒舌に語る語り口から、かつて鉄道はその国の技術の粋を誇るものであったことがよくわかります。鉄道でいくつもの国境を越える旅は、それぞれの国によって異なる規格をつないでいく旅でもあるのだと感じさせられます。
自らを「中期高齢者」(団塊の世代です)と呼ぶ大木さんが、人生最後の大旅行と位置付けたユーラシア大陸2万キロの鉄道旅。2019年8月20日ユーラシア東端の駅ロシアのソヴィエツカヤ・ガヴァニ発、11月10日西端のポルトガルのカスカイス駅着。北緯40度線、シルクロードをなぞるような行程で進む旅は、まさにユーラシア大陸で育まれた文明を辿る旅でもありました。
しかし、過去、何度もユーラシアを旅してきた大木さんが目にしたもう一つの光景は、20世紀にはそれほど目にすることはなかった、大国・中国による進出の跡でした。旧ソビエト諸国、アメリカと激しく対立するイラン、旧ユーゴスラビアといったかつての社会主義国家、さらにはイタリア、フランス、スペインへ――鉄路は、中国製の製品を詰め込んだ長い貨物列車が走り、人とモノ、両面で中国のサプライチェーンと化したユーラシアの姿をかたどります。全行程表・行程図付き。
【本書の旅のルート】
2019年
8月20日〜24日
東京〜ユジノ・サハリンスク〜ホルムスク〜ワニノ
8月25日〜29日
ソヴィエツカヤ・ガヴァニ〜ワニノ〜ハバロフスク〜ウスリースク〜綏芬河〜ハルビン
8月30日〜9月7日
ハルビン〜北京〜西安〜ウルムチ
9月8日〜11日
ウルムチ〜アルマトゥイ〜タシケント
9月12日〜22日
タシケント〜ホジェント〜ペンジケント〜ドゥシャンベ〜ホジェント〜タシケント
9月23日〜27日
タシケント〜ブハラ〜トルクメナバート〜テジェン〜サラフス〜マシャド
9月28日〜10月4日
マシャド〜イスファハーン
10月5日〜10日
イスファハーン〜シーラーズ
10月11日〜17日
テヘラン〜ヴァン〜タトワン〜アンカラ〜イスタンブール
10月18日〜25日
イスタンブール〜ソフィア〜ニーシュ〜ベオグラード〜ザグレブ〜フィラッハ
10月26日〜31日
フィラッハ〜ヴェネツィア〜ペスカーラ〜ローマ
11月1日〜5日
ローマ〜ミラノ〜マルセイユ〜ベジエ〜ペルピニャン〜ポルトボウ
11月6日〜10日
ポルトボウ〜コルドバ〜メリダ〜リスボン
11月11日〜13日
リスボン〜ポルト〜リスボン〜モスクワ〜東京
【著者紹介】
大木茂(おおき・しげる)
1947(昭和22)年、東京生まれ。1972年、早稲田大学理工学部卒業。写真家。
主に週刊誌や月刊誌、書籍の写真ページ、映画のスティル写真を担当。
主な著書:『やきものの里雑記帳』(朝日新聞社)、『ヨーロッパの鉄道撮影ガイドブック』(弘済出版社)、『ヨーロッパ汽車の旅』(平凡社)、『写真集・汽罐車』(新宿書房)。
この数年では、『ふしぎな岬の物語』『北の桜守』『最高の人生の見つけ方』『いのちの停車場』などの映画のスティル写真を担当。