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グアダルーペ・ネッテル 著
宇野和美 訳
定価 2000円+税
判型 四六判 上製
頁数 144ページ
装丁 桜井雄一郎
装画 澤井昌平
発売 2022年12月7日
ISBN 978-4-7684-5931-7
【内容】
「すべての人間はモンスターであり、人間を美しくしているのは、私たちのモンスター性、他人の目から隠そうとしている部分なのです」(グアダルーペ・ネッテル)
現代メキシコを代表する作家グアダルーペ・ネッテルの世界観全開の短編小説集。
まぶたの整形手術の術前・術後の写真撮影を仕事とする、まぶたに執着せずにいられない男(「眼瞼下垂」)。ほんのわずかなブラインドの隙間から通りを隔てた向こうに住む男性を覗き見ては妄想にふけることをやめられない女(「ブラインド越しに」)。自分をサボテンに同化させたうえに妻をつる植物に見立て、家庭崩壊に突き進む男(「盆栽」)。〈ほんものの孤独〉を探し求め、離島で一夏を過ごす少女(「桟橋の向こう側」)。女性トイレに「痕跡」を発見し、その主を探し求める男(「花びら」)。髪を抜く癖に取り憑かれ生活も精神も崩壊し、出口の見えない状態で病院で療養している女の手記(「ベゾアール石」)。
作品の舞台は、パリ、メキシコシティ、東京、ヨーロッパの架空都市。
他人には言えない習慣、強烈なる思い込み、密かな愉しみ、奇妙な癖を手放せない、あまりに個性的な人物が躍動します。
『赤い魚の夫婦』(2021年刊行)で一躍注目を集めたグアダルーペ・ネッテル。本作でも確かな筆致で読者を作品世界に引きずりこみます。
[収録作]
眼瞼下垂
ブラインド越しに
盆栽
桟橋の向こう側
花びら
ベゾアール石
【著者・訳者紹介】
グアダルーペ・ネッテル
Guadalupe Nettel
1973年、メキシコ生まれの作家。メキシコとフランスを行き来して育つ。フェミニズムとジェンダーをテーマとした創作に取り組み、2008年にアンナ・ゼーガース賞受賞、2013年に第三回リベラ・デル・ドゥエロ国際短編小説賞、2014年にはエラルデ文学賞を受賞するなど国際的に高い評価を受け、海外では毎年のように「今年のベスト10」に取り上げられる。初邦訳『赤い魚の夫婦』が、2022年第八回日本翻訳大賞最終選考作品に。
宇野和美(うの・かずみ)
東京外国語大学スペイン語科卒。出版社勤務を経てスペイン語圏の本の翻訳に携わる。バルセロナ自治大学大学院修士課程修了。訳書『ちっちゃいさん』(講談社)、『きらめく共和国』(東京創元社)、『見知らぬ友』(福音館書店)など多数。『赤い魚の夫婦』が、第八回日本翻訳大賞最終選考作品に。