高野達也 著
定価 2200円+税
判型 四六判 上製
頁数 320ページ
装幀 大森裕二
発売 2023年8月1日
ISBN 978-4-7684-5945-4
【内容】
精神科病院の入院患者による演劇を街の劇場で上演。魂を揺さぶるノンフィクション・ノベル! ある患者の「街の劇場でやってみたいなあー」という一言からすべては始まった。
昭和50年代前半、東京近郊のある精神科病院で「僕」は看護助手をしていた。
ある日、「僕」は院長から患者たちの演劇サークルの世話役を務めるよう頼まれる。「僕」は元アングラ劇団員。自分の才能の無さを痛感し、芝居を断念した過去がある。仕方なく演劇サークルの世話をするようになったが、次第に患者のひたむきさに惹かれ、街の劇場で芝居を公演したいという彼らの夢の実現に向けて動き始める。それはまた自分自身にとっての演劇への再挑戦でもあった。馴染みのジャズバーでアルバイトをしている心理学専攻の女子大生、倉橋まゆ子もいろいろと応援してくれる。
劇団は「青い舟」と名付けられ、その年の暮れ、街の劇場で公演を打つことになる。精神科病院に入院してきた少女が運動会の前夜に病院を抜け出し、家に帰ろうとする物語、題名は「もうひとりのアリス」。
「精神科病院から鉄格子を失くそう」という開放化運動の直中、公演が実現するまでの患者の体調や症状の激変、出演者と演出家の葛藤と愛憎を鮮烈な筆致で描ききる !
【著者紹介】
高野達也(たかの・たつや)
1948年、長岡市生まれ。早稲田大学中退。30歳まで転形劇場(太田省吾主宰)演出部に所属。同和会千葉病院で看護助手の仕事に従事。患者のレクリエーション活動として病院の演劇部の世話役を担当。40歳の時、健康ジャーナル社を創立。著書『自衛隊のススメ。現代2等兵物語』(メディアワークス)。